AI活用のヒント

敦賀の飲食店でAIを活かした問い合わせ対応から来店につなげる導線づくりの物語

敦賀の商店街にある小さな飲食店。昔ながらの常連に支えられてきたが、最近はSNSやグルメサイト経由の問い合わせが急増。電話やメール、DMから「席は空いていますか」「メニューは?」など、さまざまな連絡がひっきりなしに届くようになった。オーナー夫婦は目の前の調理や接客をこなしながら、合間に返信する日々。うっかり見逃したDMに数日後気づき、せっかくの予約チャンスを逃すことも。

「お客さんが来たがっているのに、こちらの対応で逃してしまう」。この悩みは、規模にかかわらず敦賀や福井の飲食店に共通のものだと感じる。問い合わせにすぐ返事したくても、手が足りない。とくに忙しい時間帯や、夜の片付け後などは返信が後回しになりがちで、気づいたときにはチャンスが過ぎている。こうした課題に、AIがどう関われるのか。現場で起きていることを踏まえ、導線づくりの変化を一つの物語としてまとめた。

問い合わせ対応に振り回されていた頃の現場

たとえばこの敦賀の飲食店では、昼と夜の営業の合間にスマホを手に取り、メールやSNSの受信箱をチェック。メニューの詳細や予約可否、駐車場の有無など、似た内容の質問が毎日届く。これを店主が一つひとつ手作業で返信していた。調理の手を止めて対応するため、どうしても数時間返事が遅れる。

よくあるケースとして、土曜日の早朝に「今日の夜、4人で席が取れるか?」という問い合わせが入る。しかし営業開始前には返信できず、昼にまとめて連絡しようとしたときには、すでに他の店で予約されてしまっていた。これが毎週のように起きる。

返信が遅れると、お客さんは「このお店は予約しにくい」と感じてしまう。逆に、丁寧な対応をしようと長文で個別対応していると、さらに手間と時間が増える。結果として、店主本人も「また取り逃したか」と気落ちすることが多かった。

きっかけは小さな違和感―『本当に全部自分でやる必要があるのか?』

何度も同じような問い合わせに答えていると、「毎回手作業でなくてもよいのでは」と違和感が生まれた。常連さんとのやり取りは人間味が大事だが、初めてのお客さんからの「営業時間」「場所」「予約方法」といった基本的な質問は、AIでも十分答えられるのではと思い始める。

あるとき、知り合いの飲食関係者が「AIチャットで問い合わせ対応を自動化したらだいぶ楽になった」と話していた。実際に見せてもらうと、想像よりも自然な受け答え。自分の店にも取り入れられないかと考え始める。

ただ、「AIが勝手に間違った案内をしたらどうしよう」「ちゃんと予約につながるのか」など、不安もあった。いきなり全部を任せるのではなく、まずはよくある問い合わせだけAIで返してみることにした。

試行錯誤の日々―AI導入の壁と向き合う

AIチャットを導入した最初の頃、店主が一番気になったのは「本当にお客さんとうまく会話できるか」。たとえば、店の定休日やメニューが変更になったとき、AIが古い情報を案内しないか心配だった。そこで、週に1回はAIの回答内容を自分でもチェックし、必要な部分を手直しするようにした。

店の情報をAIに教える作業も、慣れるまで手間に感じた。メニューの内容、予約方法、混雑しがちな時間帯など、細かい項目をひとつずつ整理して入力。そのうえで、AIがどこで何を答えるか、店主と家族でシミュレーションした。

最初はAIだけで自動返信するのが不安だったため、「問い合わせの履歴を毎日チェック」「重要な内容が入ったら店主にも通知」という設定にした。うちの経験では、こうした“小さく始める”やり方が不安の少ない一歩になると思う。

来店導線の整備―人とAIの役割分担

AIを使って一番変わったのは、「問い合わせ→返答→来店予約」という流れの中で、どこまでAIがカバーし、どこを人が仕上げるかを切り分けた点だった。たとえば、「予約希望」の連絡が来たときは、AIが空き状況や予約方法を案内し、最終的な確定は人が行う。

よくある質問への回答や、メニュー・場所・営業時間の案内まではAIが自動で返信。それ以外の、アレルギー対応やサプライズ相談、細かな要望が出てきたときは、通知が店主に入り、人の手でやり取りを引き継ぐ。

この分担ができてから、問い合わせの負担はぐっと減った。特に、夜遅くや早朝に入る問い合わせへの「即レス」はAIが担い、個別対応は人が丁寧に。結果として、問い合わせ数が増えても慌てずに済むようになった。

つまずきやすい点と、その避け方

AI導入で戸惑ったのは、“想定外の質問”がきたときの対応。たとえば「近くの観光地は?」など、店とは直接関係ない質問にAIが答えてしまうことがあった。こうした場合の答え方をあらかじめ設定し、分からない内容は「スタッフが後ほどご案内します」と返すようにした。

また、AIの返答が丁寧すぎて、逆に「本当に人が返しているの?」と違和感をもたれることもあった。地元らしい言葉や店の個性をAIの回答例に混ぜることで、温かみを出す工夫をした。

通知の設定ミスや、AIが予約可否を即答してしまいダブルブッキングになる等、慣れないうちはトラブルも起きやすい。最初は「AIは案内まで、最終確定は人で」と線引きし、少しずつ信頼できる範囲を広げていった。

“今”の店―問い合わせから来店までの流れが変わった

AIを導入してしばらく経つと、問い合わせへの返事が早くなり、結果的に予約や来店につながるケースが増えた。特に、初めてのお客さんが「ちゃんと返事をもらえた」「予約がスムーズだった」と言うことが多くなった。

店主の負担も軽くなった。スマホに届く通知をざっと確認するだけで、AIが大半の質問に答えている。重要なやり取りや、個別の相談が必要な場合だけ、落ち着いて対応する時間が持てるようになった。

敦賀や福井のような地域では、常連だけでなく、観光や出張の人など“初めての顔”も多い。そうした方とのファーストコンタクトで失礼のない対応ができるようになったのは、店にとっても大きな変化だと思う。

まず何から始めるか―小さく試してみる

AI導入と聞くと大げさに感じるかもしれないが、“よくある質問だけAIで返す”ところから始めるのが現実的。たとえば「営業時間」「予約方法」「駐車場の有無」など、毎回聞かれる内容をAIに覚えさせてみる。

試してみると、思ったよりも自然なやり取りができる。最初は手動チェックを挟むなど、完全自動化にこだわらず柔軟に進めるのがポイント。AIの回答例は自分らしい言葉で作っておくと、店の雰囲気も伝わりやすい。

最初の一歩は小さく。問い合わせ対応の一部からAIに任せてみて、店ごとに合った使い方を探っていく。これが、敦賀の飲食店が無理せずAIを使いこなす現実的な道筋だと思う。

飲食店の問い合わせ対応は、オーナーやスタッフの負担が大きい作業の一つ。AIは“全部任せるもの”ではなく、忙しいときやよくある質問の即レス係として使うのが向いている。

まずは現場の日常を振り返って、「どこが一番手が回らないか」「どこならAIに任せやすいか」を考えてみること。小さな部分からAIの役割を作っていけば、来店につながる導線づくりも自然に回り始める。

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Z Plus 藤井

福井県敦賀市で、中小企業のAI活用と業務改善を手伝っています。「これ、うちでもできる?」という相談を聞くのが、いちばん好きです。

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